ディープ・シネマ・インサイト

映画の見どころとストーリーの考察を日々の鑑賞記録として綴るブログ

ターゲット (Wild Target):殺し屋、弟子、詐欺師の珍道中

エミリー・ブラントつながりでもう一作鑑賞。『ターゲット』は2010年公開のイギリスのコメディ映画で、1993年のフランス映画『めぐり逢ったが運のつき』のリメイクです。日本では劇場公開はされていないみたいで、下記のトレーラーも英語版です。

 

 

DVDは発売されています。

 

記事の目次

 

 

1. 映画の主なスタッフとキャスト

  • 製作:マーティン・ポープ、マイケル・ローズ
  • 監督:ジョナサン・リン (Jonathan Lynn)

 

 

2. ストーリー紹介

イギリスの名門殺し屋一族の末裔であるビクターは、仕事と母親の期待に忠実に生きてきた。しかし、ある日、依頼されたターゲットである詐欺師のローズに一目惚れしてしまう。彼女を守るために自分の仕事を放棄したビクターは、ギャングのボスやライバルの殺し屋から追われる身となり、ローズと共に逃亡生活を始める。そこに、ビクターの弟子となった若者トニーも加わり、三人は奇妙な同居関係を築く。果たしてビクターはローズと幸せになれるのか?そして、殺し屋としての使命はどうなるのか?

 

3. 邦題と原題の比較と解説

邦題は『ターゲット』であるが、原題は『Wild Target』。邦題は単純にビクターが狙うべき殺しのターゲットであるローズを指していると思われます。原題には『ワイルド』がついており、何をしでかすか分からないローズの自由奔放な性格を表しているのでしょう。別に原題のままでよかったと思うのですが、なぜ邦題では『ワイルド』を取ってしまったのでしょうかね。

 

4. 映画の見どころ

完璧ではない登場人物とテンポの良いストーリー展開

登場人物はプロの殺し屋や詐欺師なのですが、完璧というわけではなく、どこか抜けているところがあります。映画自体がコメディとアクションの要素がバランスよく織り込まれていることもありますが、これらの可愛げのある魅力的なキャラクターの掛け合いが、テンポの良いストーリー展開を生み出しています。

エミリー・ブラントの魅力

もともとエミリー・ブラント目当てで見たような映画なのですが…。

クワイエット・プレイスオール・ユー・ニード・イズ・キル、ボーダーラインなど強い女性キャラを演じることが多い印象のエミリー・ブラントですが、本作で演じるローズはキュートで時にはセクシーな魅力を持つキャラクターです。

色仕掛けで絵画修復師ジェリーにレンブラントの贋作を描かせるなど女性の魅力を前面に出すこともあれば、ビクターに惹かれていることをトニーに打ち明ける場面では正に恋する少女です。カッコいいエミリー・ブラントも良いですが、本作では可愛いエミリー・ブラントが堪能できます。

 

5. ストーリーや登場人物についての考察

実際のレンブラントの絵画はいくらするの?

ストーリー自体は単純で特に奥深さもないのであまり掘り下げるポイントはなかったのですが…。

エミリーが贋作をファーガソンに売りつけるレンブラントの絵画ですが、これは有名な『34歳の自画像』です。実際に本物は、ローズが映画の中で自転車で走り抜けるロンドンのナショナル・ギャラリーに収蔵されています。

34歳の自画像 - Wikipedia

 

ファーガソンはこの絵画を90万ポンド(1.6億円)で買おうとしていました。実際にはいくらぐらいするものなのかを調べてみたところ、この絵画は19世紀からナショナル・ギャラリーが保有しており、現代における取引価格は存在しませんでした。 

ただ、2022年に個人所有だった別の自画像が23億円で落札されたというニュースがありましたので、『34歳の自画像』も同じくらいの価格はするのかもしれません。

Rembrandt self-portrait sells for a record $18.7 million at Sotheby's | CNN

 

6. 映画の評価

★★☆☆☆(星2つ)

エミリー・ブラントをはじめ登場するキャラクターは魅力的で、コメディー映画ということもありなテンポよく見れる作品ではありますが、ストーリーに深みはなく、1回見たらよいかなと思う作品でした。

上映時間98分と短めなので、アクション・コメディーが好きで、気楽にサクッと見れる映画を見たいときには良い作品だと思います。

ちなみにジョナサン・リン 監督の『いとこのビニー』や『隣のヒットマン』は結構好きな映画なので、『ターゲット』のことを調べていて、この2作品もまた見てみたいと思いました。